私の知り合いがWB工法で家を建てると言い出しました。
・・・とは言っても、深い付き合いの人ではないので「それは良かったですね」とだけ答えておきましたが、心の中では「止めておけばいいのに、欠点だらけよ」と思ってしまいましたね。
「通気断熱WB工法」という宣伝文句を詳しく見てみると、「機械や電力の力を借りずに」とか「夏と冬の変化に自然に反応」とか「いつも快適な温度と湿度に調整」とか都合のいいことが書いてあります。
簡単に説明すると、基礎内と屋根に設けられた扉を季節に応じて自動的に開け閉めすることによって「夏は涼しい外気を取り入れ」「冬は外気をシャットダウン」して室内の温度を快適に保つようになっているとのこと。
しかし実際にWB工法の家に住んでみればわかると思いますが、CMのようにメリットばかりではないわけですね。本当は「夏は暑い」「冬は寒い」という欠点やデメリットがあるわけです。WB工法の家に住んでいる人に聞いてみればわかりますよ、口コミや評判を探してみれば苦情やクレームが聞けることでしょうね。
WB工法の家の欠点とデメリット
WB工法の最大の特徴は基礎の中と屋根に設置された開閉ダンパーを開け閉めすることによって外気を家の中に導入したり遮ったりできることにあります。
この工法の目的は「夏は外の涼しい風を取り入れる」ことによって電力を使わずに快適な生活を送れるようにすることのようですが、ここが既に欠点になってしまっているのです。デメリットなどと呼べる程度ではないのです、致命的なんです。
そもそもですが、今の日本の夏の温度と湿度は「30℃から38b℃」「70%から90%」になることは知っていますよね?これのどこが快適な「空気」なのでしょうか?
湿度タップリで暑い空気を室内に取り入れて快適な室内環境になるわけがありません。WB工法の説明を見ると、室内のホルムアルデヒドと湿気が基礎から入った外気が壁内を昇っていく時に排出されると書いてありましたが・・・ホルムアルデヒドはともかく湿気は逆に入ってくることになるでしょう。
特にエアコンを使って室内の湿度が下がると、外気からの湿気が次々と室内に入ってくることになるのに気が付きませんか?今の日本の夏で「涼しい風」「乾いた空気」など入ってくるわけもないのです。
逆に冬になると通気層の空気が保温層になると説明しているようですが、空気が留まっているわけではなくて壁の中を自由に対流してしまうデメリットは説明されてはいません。
冬期に暖房した暖かさは次々と保温層(通気層)とやらに逃げていってしまうのです。暖かい家を求める人にとって、これを欠点と言わずに何と言えばいいのでしょうか?
WB工法が夏は涼しくなく、冬も寒い理由
さらにWB工法には欠点があって、それが原因で夏も涼しくないし冬も寒い家になってしまうのです。
その欠点とは・・・壁内に2重の通気層を作ることによって断熱材の厚さが十分に取れなくなっているのです。
一般的な吹き付け断熱の場合でも柱の太さ目一杯に断熱材を入れるのですが、WB工法では通気層を確保しなければならないために断熱材の厚さを薄くせざるを得ないのです。
私が思う暖かい家の条件としては、外断熱+内断熱のW断熱を推奨したいところですが・・・WB工法程度の断熱材の性能と厚みではとても暖かい家など実現しないことは明らかですね。
だいたい夏は断熱材の内側に、外から来た暑くて湿度タップリの空気が流れることになるのですから涼しくなるわけがありません。湿度も高くて不快な環境になるのは当然なのです。
中気密に騙されるな、暖かい家は高気密高断熱だ!
WB工法の特徴に季節に応じて自動で開閉するダンパー(開閉扉)が備わっていることがありますが、この部分が断熱欠損と気密欠損になることは明白なのです。
だいたい世の中に高気密高断熱住宅が存在する理由を考えると、こんな中途半端な気密保持の仕組みを導入すること自体が欠点に見えてしまうのです、私にしてみると。
有害物質を排出するとかどうとか言っていますが、そんなものは換気システムに担わせれば良いのです。そのための換気装置なのですからね。
だいたい中気密など過去の歴史を知っていれば言えないハズです。大事なことは完璧な高気密高断熱住宅を作ることにあるのです。
中途半端な欠陥の高気密高断熱住宅しか建てることができない大工が多いことが勘違いの原因となっていると思うのです。
夏涼しくて冬暖かい家を求めている人は絶対に「高気密高断熱住宅」なのです。しかも完璧な施工でです。
冬は暖房で暖かくするしかないのですし、夏はエアコンで涼しくするしかないのです。
この原則を忘れて中気密とか通気工法などに傾いてしまうと・・・あなたの考える暖かい家は実現しないのです。
日本のエアコンはトップレベルの省エネ性能を誇ります。暖房でも冷房でもエアコンを上手に使うことを考えないといけないのではないでしょうか?
WB工法など通気工法の欠点まとめ
今回は「WB工法の欠点を教える。夏は暑いし冬は寒いというデメリットは口コミで見つからない」と題してお送りしましたが、エアサイクルの家なども含めて外気を家の中に取り入れようとする工法は気に食わないですね。
あとは「呼吸する家」とかいう表現も嫌ですね。
広告のイメージで家を購入してしまうお客さまにとっては「自然の風を取り入れて」という宣伝文句に引っかかってしまうのでしょうが、昔の古民家と現代住宅とでは構造も立地にも大きな違いがあることを覚えておかなければなりません。
昔の家には必ず広い土間があったのです。そして土間にはタップリと水分が含まれていたのです。山や川沿いに降りてきた空気が土間に入ることによって水分が蒸発して気化熱を奪っていくのですね。だからこそ外気を取り入れると涼しくなったのです。
現代住宅に土間などありますか?緑溢れる自然の中に建っていますか?そもそもの条件が違うのです。
しかも昔は湿度の高い外気を取り入れていたので室内でもカビやダニが多く発生したという欠点があることも忘れてはいけませんね。
さらに、昔の家は大きく迫り出した「軒」があって夏の日光の侵入を防げましたが・・・現代住宅ではコストダウンが優先されるので軒など申し訳程度に出ているだけなのです。それをLowEガラスで防ぐわけですが、窓を開けていれば直射日光が入ってきてしまうのですよ?欠点ですよね?馬鹿みたいでしょ。
どうしてもWB工法で建てたいという人はどうぞそうして下さい。
しかし暖かい家が欲しい人は絶対に「高気密高断熱」です。
WB工法には「気密が完璧に取れない」「断熱材が薄くなる」「悪条件の外気が入ってきてしまう」という3つの欠点とそれに準ずるデメリットが発生してしまうのです。
最後に・・・価格が高いという欠点も忘れてはいけませんね。その高くなる値段の分を断熱材に使う方がよっぽど良い家になると思いますよ!