ドイツは環境先進国だと思っている人は多いと思いますが、先進的過ぎて困った問題が発生しているのはご存知でしたか?
その困った問題というのが「ゴミ不足」で、ドイツ国民の「欲しがらない」「使えるものは再利用」「無駄をせず」という国民性が理由でゴミが激減しているのですね。
一方でドイツではゴミ焼却場で発電する施設が急増しているのですが、それは家庭用ゴミを埋め立てすることを禁止したためなのです。しかし乾いた雑巾を更に絞るかのようなリサイクル率の上昇がゴミ不足を招き、ゴミ焼却発電所で発電できなくなってしまったというのです。
焼却場で発電するために足りなくなったゴミの量は1年間で数百万トン!莫大な税金を使って建てた発電施設を壊したり止めてしまったりすることもできなくて・・・ドイツが取った解決策が斜め上を行く方法だったのです。それが意外な方法でしたので今回の記事でご紹介しておきたいと思います。
発電用のゴミ不足を解決した方法とは?
ゴミ焼却場に併設した発電所で燃料のゴミが不足したために・・・ドイツはイギリスやイタリア、アイルランド、スイスなどの近隣国からゴミを輸入し始めたのです。
環境の負担を減らすためにドイツ国民はリサイクルを徹底させてゴミを減らしたのに、それによって発電できないという問題が発生して取った解決策が「ゴミの輸入」というのですから驚きを通り越して呆れてしまいますよね。
当然、反対意見も出ているのですが発電量を維持しないとドイツ国民の生活が成り立たなくなる可能性もあるのでやむを得ないといったところでしょう。
ドイツの中型都市であるマクデブルクでは電力の全消費量の30%以上がゴミを燃やして発電した電気で、おおよそ5万世帯分というのですから・・・ゴミ不足で発電できないとなると他の発電施設を作るしか方法がなくなってしまうわけですね。
しかし緊急で電力不足を補うとなると化石燃料を燃やすことに繋がりますので、二酸化炭素の排出量が増えてしまうという別の問題も出てくるのです。
そうかと言って、ドイツでは原子力発電所が廃止されてしまっているので原発に頼ることもできません。
結局は、毎日毎日・・・イギリスなどの他国からゴミがドイツに送り込まれてくることになるわけです。
イギリスがゴミを輸出する理由
ドイツへはイタリアやスイスなどがゴミを輸出しているのですが・・・これらの国からはトラックでゴミが運ばれています。
しかしイギリスからは船を利用してドイツにゴミが運ばれてくるのですが・・・コストや手間暇を考えると割にあわないような気もしますよね?
でもイギリスが積極的にゴミを輸出するのには理由があって、イギリス国内でゴミを埋め立てる時はかなり高額の税金が取られてしまうことになっているのです。
イギリスの自治体にしてみれば高い埋め立て税を払うくらいであればコストが掛かってもドイツに輸出した方がお得ということなんですね。
しかし、毎日ゴミが出入りする港では悪臭問題も発生しているということなので・・・誰かが得する一方で誰かが泣きを見ていることになっているのです。
ドイツのゴミ不足問題まとめ
今回の記事では「ドイツの環境問題が斜め上を行ってる!ゴミ不足でゴミを輸入し始めた!」という内容でしたが・・・実はドイツの電気料金はかなり値上がりしているわけですね。
原発を廃止して自然再生エネルギーを使うことに決めたのですから電気価格が上がるのは当然のことなのですが、普通であればドイツの産業界は電気料金の値上げによって競争力を失うハズだったのです。
しかし実際にはEUに加盟したことによってユーロを使うようになったがために、ドイツの実力に見合わない低い価値の通貨を利用することが可能になったのですね。これによって輸出競争力が出てきたために電気料金の価格が問題になることはなかったわけです。
また難民を含めてドイツに流入する労働者が増えたこともドイツ企業の競争力を高めている一因ではありますね。
それにしてもゴミを減らしたがためにゴミ不足の問題が出てくるとはドイツの環境当局も予想していなかったのではないでしょうか(笑)?
焼却場の一部を閉鎖する都市も出てきたようですが、今後もゴミの輸入を続けると発表している自治体もあるとのことで・・・「ゴミの輸入」という表現は使わないようにしているのだそうです。
それならどのように言っているのかと思えば、やはり斜め上な表現を使っていて「エネルギー源の輸入」なんだそうですよ。笑えますよね。